次世代エレクトロニクス研究室 浜屋グループ

研究テーマ 


 デジタル家電や携帯端末等の高度情報通信機器に代表される電子機器の多くは、『半導体デバイスの高性能化』によって飛躍的な発展を遂げてきました。しかし近年、その高集積化や高速動作化に伴って、消費電力の増大が大きな問題となっています。半導体トランジスタでは、電源を切ると情報を失う揮発特性が一般的であるため、電子機器の待機電力(全体の消費電力の約30%)は増大する一方です。
 このような背景のもと、私たちの研究室では、電子の持つ『電気を流す性質(電荷)』と『磁石になる性質(スピン)』の2つの性質を同時に利用して、新しい機能を持つ半導体電子デバイスを開発する『半導体スピントロニクス』と称される最先端の研究を行っています。


(1) IV族半導体スピントロニクス素子実現に向けた要素技術開発


半導体と磁石を原子レベルで接合して新機能電子デバイスを創出する



 半導体スピントロニクス素子を実現する重要な要素技術の一つが強磁性体電極から半導体チャネルへスピンを注入する「スピン注入技術」です。それを実現するためには、高いスピン偏極率を有する強磁性体材料を半導体上に異種化合物を形成することなく作製する技術が必要となります。
 研究室では、シリコンやゲルマニウムといったLSI 技術と整合性の高い半導体材料をスピントランジスタに応用するため、超高真空成膜装置を利用した結晶成長技術、種々の微細加工装置を利用した素子作製プロセス、極低温・磁場印加装置を利用したスピン伝導測定技術等を駆使して研究を行っています。



(2) 強磁性金属上の半導体結晶成長技術の開発
 強磁性金属上にシリコンやゲルマニウムなどの半導体を結晶成長することが可能になれば、(1)の技術と組み合わせることで、縦型構造の半導体スピントロニクス素子の実現が現実味をおびてきます。当研究室では、その基盤技術となる、強磁性金属上の半導体結晶成長技術の開発します。


(3) 量子ドットスピントランジスタの基礎研究
半導体中の電子の状態密度を3次元方向から閉じ込めたナノ構造を『量子ドット』と呼びます。この量子ドットは、電子をあたかも原子のように収容する事のできるため、『人工原子』とも称されています。この人工原子に電子を1 個ずつ収容したり取り出したりする原理をスピンエレクトロニクスと融合することで、究極の超低消費電力デバイス『単一スピントランジスタ』が実現します。本研究では、微小素子の作製、半導体量子物理の探索等の基礎研究を行っています。